生活保護を受給している人も、自立を目指して意欲的に就労することが求められており、就労した場合には、インセンティブとして生活保護費から一定の額を控除する制度があります。これを「勤労控除」と言っています。
その制度を活用する場合、毎月一定の収入が入る就労形態と、不安定な就労のため収入がある月とない月がある場合とで、生活保護費からの控除方法が違います。
不安定な仕事で収入も1万5000円以内であれば、その分は生活保護費以外の収入として認める。もう一方は、毎月一定額の収入があったらその中の一部を保護費以外の収入として認めるというものです。こうして、徐々に安定した就労収入が入るようになり、生活保護から自立の道に進めるよう促している制度です。
私は生保の相談をいただいたときは、そのことを話して「体調がよくなったら頑張って仕事を見つけてね。」と言ってきました。ところが、ある相談者から「平塚市から、もらえないと言われた」と!そんなことはない、生活保護の制度を見れば書いてある!急いで市の生活福祉課へ。しかし、「県からの通達で、不安定な就労であって継続しない場合は出ない」とのこと。厚労省(制度)の資料を出して「こうなっている」と言っても「県からはこう来ている」の堂々巡り。県内の議員に聞いたらどこも出ていない。東京都に聞いたら出ていると・・。???そこで、厚労省に聞いてみました。「出ます。出ていないって、それはどこの県ですか?」とまで言われ、「やっぱり出るんだ」とわかりました。
藤井克彦県議が県議会で取り上げてくださり、私も環境厚生常任委員会で取り上げ、ようやく1月14日付けで神奈川県から「離職又は休職等をした以降に受領した就労収入に対する基礎控除の取り扱いについて」という通達が各自治体にきました。
「通達」で済む問題?
しんぶん赤旗(2月13日)に載った記事です。
県が制度の解釈を間違えて、対象となる受給者に出さなかった額はこれまでの長い期間にどれだけの額になるでしょうか。「間違っていたので、これからはこうします」でいいのか!生活保護受給者の「不正受給」「不正受給」と大きく報道しながら、全国で行っている「勤労控除」を、長い間厚労省の制度の解釈を捻じ曲げて出さなかった県の対応が紙一枚で終わるのでしょうか。「仕事を探せ」と何度も何度も指導され、頑張って仕事を探して働いても一銭ももらえなかった人たちに一言の謝罪もなく終わりにするのでしょうか。
以下は、昨年9月議会の環境厚生常任委員会で質問した内容です。
【松本委員】
生活保護についてお伺いいたします。生活保護制度の収入認定について、厚生労働省では勤労意欲の増進、自立助長等を目的として勤労控除を設けています。その勤労控除には収入の認定指針が示されていて、就労に伴う収入として、ア勤労収入、イ農業収入、ウ農業以外の収入、エその他不安定な就労による収入などが規定されています。そのうちのエのその他不安定な就労による収入は、厚生労働省の実施要綱で次のように書かれています。知己、近隣等よりの臨時的な報酬の性質を有する少額の金銭その他少額かつ不安定な稼働収入がある場合で、その額が月額1万5000円を超えるときは、その超える額を収入として認定すること。
そして、さらに不安定な就労収入について、不安定な就労による収入と臨時または不特定就労収入との相違について、厚生労働省では次のように言っています。その他の不安定な就労による収入は、知己、近隣等縁故による文字どおりの臨時就労状況が時たま生ずるものを対象とするものであり、局第8の1の(1)のウ臨時または不特定就労収入は、いわゆる拾い仕事をしている就労状況を対象とするものである。また、不安定就労収入は、通常毎月この収入が期待できるものではないので、基礎控除は適用されず、就労者ごとに次第8の3の(1)のエに定める先ほどの1万5000円、この額を超える分だけが収入認定の対象となるとしています。そして、これに対し、臨時就労収入は、雇用先が不特定で就労の可能性が同一の事業所で継続しない場合でも、そのような就労状況そのものは毎月引き続いていることから、基礎控除が適用されるとなっています。
つまり、国は不安定収入を2つに分けていて、1つはたまたま友達や親戚等の仕事を手伝って少額の収入を得た場合には、1万5000円までは自分のものとしていい、それ以上のものは収入として生活保護費から引くという内容です。もう1つは、臨時就労収入は、同じ事業所で継続して働かない場合でも、そのような就労が毎月引き続いているなら基礎控除が適用されるとしています。
私は以前から、このことは働くことへのインセンティブとか就労意欲の向上ということをうたっているので、最低でも8000円は今までは控除されているというふうに思っていました。そして、昨年変更されて、それが1万5000円になりましたけれども、このことによっても1万5000円は引かれているというふうに思っていたわけですけれども、平塚市の生活保護受給者の方から働いても一銭ももらえないという訴えがありまして、非常に驚いたわけです。なぜこのようなことが起きているのか伺いたいと思います。
収入認定の基礎控除について答えさせていただきます。まず、基礎控除というものが今8000円から1万5000円という形でありましたけれども、基礎控除というのは就労に伴って増加する必要経費の補填をするということ、また、就労の継続の意欲の助長を図ろうということが目的になっております。今委員がお話しになられました、もらっていなかったということになりますけれども、継続して就労されている限りは必要経費と基礎控除というものはついていきますので、やめられてしまうと経費の補填というものが必要ではなくなってしまうということで、最終給与に関しては基礎控除がなくなりますけれども、続いている限りは基礎控除のほうはついております。
あと、不安定就労収入と臨時就労収入、または不特定就労収入というのがありますけれども、不安定就労収入に関しましては、先ほど拾い仕事という形でお話がありましたけれども、たまたま仕事をもらって1回だけとかというのに関しては、たまたまあったということになると、補填をするということがないので、今言った基礎控除というのがありません。ただ、あと、臨時就労収入、不特定就労収入は、その月はAの会社、その次の月はBの会社といって継続性はなくても、月ごとの継続性はあるということで、基礎控除のほうがついてはいきます。
今、収入認定について伺いましたが、これが非常にややこしいのですが、拾い仕事のようなものは勤労控除には当てはまらないというふうに言っているのですね。「勤労控除」には当てはまらない、だから、最低額の1万5000円を出すというふうに言っているわけで、全くもらえないというのはおかしいのではないかなというふうに思うわけですが、そこのところをお聞きしたいと思います。
私のほうからは、継続就労にかかわる部分の考え方というところを御説明をさせていただきたいというふうに思っています。
委員御指摘のように、給与収入控除の取り扱いのポイントという部分につきましては、就労の継続性という部分になります。臨時とか不特定就労で認定できる例としましては、毎月ではなく隔月での収入、不定期な勤務による収入、一定額ではない収入、2カ所からの収入というようなことが想定されております。その就労が不安定とか断続的でも、継続していることが必要というふうになっております。そういったことが確認できれば控除対象というふうにしておりまして、国の通達に応じているという状況であります。
しかし、継続が途切れる場合、すなわち退職とか雇用契約が終了し、次の就労が未定の場合は、要件に該当しないということになりますので、委員御指摘の通知の中では、最終給与の控除についての取り扱いというのはできないということになっております。したがいまして、それを補完するために、神奈川県の生活保護実務集という部分におきまして、就労が途切れた場合は控除できないという旨の取り扱いが明文化されております。したがいまして、国と県と平塚市、そういったところの運用方法が違っているというような状況ではないというふうに考えております。
以上です。
今、課長さんからお話がありました。途切れると基礎控除はないよということでしたけれども、このことでは、就労の促進、それからインセンティブを与えたいという国の思いというのが、それでは伝わらないと思っていまして、厚生労働省に確認をとりました。そうしましたら、継続の就労でなくても1万5000円はもらえますと、しっかりと担当職員の名前も言ってそれを言ってくださいました。だから、継続すれば勤労控除の対象になるから、金額によってどんどんと上がっていくけれども、もらい仕事とか拾い仕事のようなものは時たま入ってくるものだから、それに関しては幾ら金額が5万であろうと6万であろうと1万5000円は保証するけれども、勤労控除の対象ではないよと言っているので、1万5000円は出るということで、私は「出てない」というお話をしました。「それはどこの市ですか」、「どこの県ですか」とまで言われました。これはもう1度確認していただきたいと思います。国が行っている制度が、働いても一銭ももらえない自治体と、それぞれちゃんともらっている自治体があるというのは大きな問題ですので、長年もらっていない平塚市の受給者の方々には、どのように対策をとっていくのか伺いたいと思います。
控除関係のところで、市の方針はというふうな部分でありますけれども、全般的にいろいろな部分で言えるのですけれども、うちのほうで生活保護制度を運用していく中で、いろいろ疑問等が生じてくる部分がございます。そういった中では、その都度県とか国に相談しながら対応しているということでありますので、委員は疑問点がございますでしょうけれども、本市としては制度内で運用しているというふうに判断をしております。