どうなる?!これからの子供と教育 松山大学大内裕和助教授の講演を聞いて
皆さんはもう「茶色の朝」という寓話を読まれましたか?これはとっても短い絵本です。フランスでは50万部突破のベストセラーになりました。
「茶色」は何を意味するか、ナチスの初期の制服の色、ファシズムを意味しています。
ファシズムとは、権力者が人々を弾圧し、思うがままに 一党独裁による国粋主義をとり,反共を掲げ侵略政策をとることだけではなく、フランスや日本のように「民主主義」の社会でも、人々の政治への無関心や面倒なことには首を突っ込まないという体質が蔓延するなかで、成立するといわれています。
物語は、主人公のごく普通の男性がなんでも、茶色の犬や猫しかペットにしてはいけないという「ペット特別措置法」という法律が出来たというので、決められたとおり自分で飼っていた白黒の猫を安楽死させた。いやな気はしたが、忙しいしそのことをいつまでも気にしてもいられなかった。ある日友人からペットの犬を安楽死させた話しを聞いた。この話しに主人公はちょっと違和感を感じたが、別に自分の生活に関係ないことなので聞き流した。
そのあと、この法律を批判した新聞が廃刊になったりそういう本が書店から消えたりするが「茶色新報」という政府公認の新聞でも別に困らなかったので黙っていた。しかし、次々と友人たちが不当に逮捕されてゆき、そしてある朝、ついに自分にも・・・。「ペット特別措置法」で、飼ってはいけないというものだったのが、以前飼ったことがある人までも逮捕の対象にされていったのです。
国旗国歌法、盗聴法、個人情報保護法、イラク特別措置法・・・どれもその内容に違和感をもちながら、日常生活にそれほど関係ないし、日々忙しくてそんなことを話題にすることもないまま国会で成立してしまっていた・・・そんな感をお持ちではないでしょうか。
国旗国歌法を成立させた小渕内閣の野中広務官房長官が「強制はしない」と明言していたのに、いまでは、立たない教師だけでなく、生徒が立って国歌を歌わなかったといって先生の処分をする、生徒がちゃんと歌っているかどうか声の大きさを調べるということまでも行われているのです。
イラク特別措置法が決まったら、自衛隊の多国籍軍への参加までもが当然決まっていたかのような政府の態度です。いま、教育基本法を変えようという動きが強くなってきています。憲法を変えるには反対も多いし時間がかかる、まず教育基本法から手がけようというわけです。
「教育基本法」は学校のことだから、うちには学校に通う子もいないし関係ないと思っている人がいませんか。教育基本法は憲法に沿ってつくられ、憲法によって守られているのです。これを変えることで、「教育基本法がこうなっているのに憲法がこうでは困る」という「なしくずし的逆戦法」でくることは、今の政府では十分考えられるというわけです。
今「9条の会」をつくり、憲法を守ろうと立ち上がった人たちがいます。今まさに日本は茶色に染まってきています。これを警告する人々の声がさらに大きくなって、「二度と再び子供たちを戦場に送らない」と教育現場で必死に頑張っている教師をしっかり後押ししてゆかなくてはならない時ではないでしょうか。
「9条の会」と「憲法行脚の会」の両方に名を連ねている三木睦子さんは「夫である三木武夫(元首相)から聞かされていた。僕は自民党が憲法改正して戦争をするようにならないように、自民党を離れないでいるんだよと。戦争の頃は小泉さんはヨチヨチ歩き。怖さを知らないのでしょう。」といっています。
広島のある学校では、クラスの壁に反戦のカレンダーを貼っていたら、注意されはがされました。「戦争反対」とトイレに落書きしたといって逮捕され、懲役刑になった人のことが報告されました。反戦チラシをまいただけで逮捕、社会保険庁の職員が休日に政党のチラシを配っていて逮捕されました。
戦争とか、政治とか、社会とかに興味ないし、別に何が起こっても生活は変わらないと思うし仕事が忙しい。学校もあるしバイトにも行かないと・・・。
史上最低の投票率が続く中で、かつてない高支持率で誕生した小泉政権。この政府は私たちにどういう道を歩ませようとしているのか、教育基本法を変えるという目的は何か、いまこそ立ち止まって考えてみませんか。「茶色の朝」にならないために。