昨日は大荒れの天気で、せっかくの「中秋の名月」も拝むことができませんでした。ところが今日は朝からすばらしい秋晴れとなり、黄金色の田んぼと丹沢の山々が見事な秋を演じてくれました。
夕方には、昨日の名残りの「名月」が雲の間からくっきりと顔を出し、思わず写真に収めました。「中秋の名月」をじっと見ていたら、あの「井伏鱒二」の厄除け詩集にある「逸題」を思い出していました。
「逸題」 井伏鱒二
今宵は中秋名月
初恋を偲ぶ夜
われら万障繰りあわせ
よしの屋で独り酒をのむ
春さん たこのぶつ切りをくれえ
それも塩でくれえ
酒は熱いのがよい
それから枝豆を一皿
ああ、たこのぶつ切りはへそみたいだ
われらまず腰掛に座りなおし
静かに酒をつぐ
枝豆から湯気が立つ
今宵は中秋名月
初恋を偲ぶ夜
われら万障繰りあわせ
よしの屋で独り酒をのむ
新橋よしの屋にて