宮崎県で発生した口蹄疫の被害が拡大化したのは、感染した家畜をいち早く殺処分して埋却するという、家畜防疫上の基本的なことがしっかり行われなかったことが、最大の原因と指摘されています。政府の対策の遅れであると。
今、この口蹄疫を何としても抑え込み、拡散させないためにあらゆる力を注ぐことが重要です。
政府は、責任を持って埋却地の確保を行うとともに、ありとあらゆる人的資源と機材を投入して、感染家畜の殺処分と埋却を行わなければなりません。
畜産農家にとって、大切に飼育してきた家畜が殺処分されるというのは、出荷と違い、心の痛手は大変なものだと思います。感染していない畜産農家でもいつ感染するかと日々不安な状況に置かれ、この平塚市の畜産農家も気が気ではありません。
4月20日に宮崎県で口蹄疫が発生し、平塚市もそれを受け、農水産課では4月28日に口蹄疫対策マニュアルを作成し、動向を見ながら対応を進めていくことになっています。
平塚市のマニュアル
- 国内で発生した場合、農水産課長を班長とした口蹄疫対策班を設置し、対策を講じる。
- 湘南家畜保健衛生所等関係機関との情報交換を行い、動向を注視する。
- 情報は随時市内畜産農家に提供する。
- 職員の意識を高め、平塚畜産会と協力し、消毒薬の配布、家畜防疫に努める。
となっています。
湘南家畜保健衛生所では、刻々と被害が広がっていることから、国・県のマニュアルの改訂が行われており、それに沿って平塚市も動いていくことになるだろうといいます。
何より早い対応が求められるため、畜産農家にはインターネットだけでなく、「家保(家畜保健)だより」で随時情報を伝えているとのこと。
今までの消毒をさらに徹底させるため、5月末には消石灰を無料で配布することになったといいます。
消石灰は刺激があるため、小屋の中ではなく、牛舎・豚舎の出入口や周辺にまきます。靴や車の消毒や舎内に使用する薬品は数種類あるが、現在宮崎県で優先的に使われているため、被害が出ていない地域ではあまり使われていないようです。
湘南家畜保健衛生所
湘南家畜保健衛生所の管轄している地域は、平塚市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市、秦野市、伊勢原市、南足柄市、高座郡、中郡、足柄上郡、足柄下郡の広い地域です。
この所管地域で乳牛を飼っている農家は、236戸、7557頭。また、肉牛として飼っている農家は52戸、3351頭で、牛は合計約1万1千頭となり、県内の半分以上がこの地域で育っているといいます。
宮崎県は松坂牛など、様々なモト牛の産地として営まれてきただけに、日に日に被害が拡大していく中、種牛、孫牛をどう確保するか、畜産農家では頭を悩ませています。
平塚市の畜産農家は、平成21年7月に行われた「平成21年度神奈川県肉豚共進会」で岡崎の生産者が1位に選ばれ、農林水産大臣賞を受賞したり、今年3月に行われた「第38回神奈川県ブラックアンドホワイトショー」では、金田の牛生産者がグランドチャンピオンに選ばれるなど、本当に頑張っています。それだけに、市も県も、万全の対策をお願いしたいと思います。