私たち議員団は毎年、市に対し「予算要望」を提出しています。誰もが安心・安全に暮らせるまちにしてゆくために、市から届いた回答を皆さんと共有し、これからも皆さんと街の色んな所をチェックし、声を上げていけたらと思います。
今回ご紹介する「市からの回答」は、令和3年春に届いたものです。
皆さんの声をお待ちしています。
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平成25年12月に、内閣府が設置した「首都直下地震モデル検討会」で、発生間隔が2千年、3千年あるいはそれ以上とされる、相模トラフ沿いの最大クラスの地震など、最新の科学的知見が示された。 このため神奈川県は平成26年度に、国の新たな知見を取り入れ、最大クラスの津波について、県民のいのちを守ることを目的として、想定外をなくすという考えのもと、「津波防災地域づくりに関する法律」に基づき津波浸水想定を設定した。
今、地球温暖化も影響し、何十年も住んでいる住民でさえ初めて遭遇する大災害が全国各地で発生しており、平塚市における災害対策も万全なのかが問われている。
とりわけ災害に対し市民の自助・共助が強調されるが、大災害が頻発している時代だからこそ「公助」の中身をしっかり示すことが行政の責任であり、安心して暮らせる最大条件である。よって以下要望する。
津波
①本年12月に藤沢市・大磯町・二宮町が「津波災害警戒区域」に指定された。これによって最新の想定を反映したハザードマップを作成していくという。相模トラフ(西側)による最大津波高さは平塚市では9.6mであり、大磯町・二宮町の17.1mに比べると低い。しかし、想定される5つの地震のうち、どの地震が起こるかわからない中、この数字だけで判断することはできない。神奈川県は想定外をなくすという考えの下で対策を急いでおり、平塚市も早急に「津波災害警戒区域」の申請をし、最新のハザードマップを示し、市民の安全を図ること。
(回答)令和2年12月時点で、藤沢市・大磯町・二宮町いずれの市町も津波災害警戒区域の指定はされておらず、指定に向けて取組を進めている状況です。
国では、津波災害警戒区域の指定により、警戒避難体制の整備が促進されるとしていますが、基準水位に基づき公表される津波浸水想定区域図は、現在公表している津波浸水想定区域面積と変わらないことから、本市においては、市民の安心・安全の確保に向け、引き続き津波ハザードマップに基づく逃げ地図による訓練や津波避難ビルへの避難訓練などに取り組むほか、既に指定を受けたそれぞれの自治体による津波避難対策の取組等を注視しながら指定について検討を進めます。
(事務担当は災害対策課災害対策担当)
②平塚市は、「津波による影響はない」として海岸林を伐採して海岸沿いに都市公園をつくり、年間76万人の集客を得ようとしている。しかし、今年1月に決定した事業者は樹林帯を伐採しても安全であるとする科学的根拠を全く示していない。背後地は国道134号より低く、住民は常に高潮や津波に対する不安、樹林帯伐採による強風・飛砂被害の不安を持っている。こうした環境を変更するからには、行政は自ら契約した事業者に対し、「現状と同等以上の飛砂防備機能」を科学的に立証させること。また「津波や高潮対策」に対し、市は事業者に何を求め、事業者の提案のどこに満足したのかを、住民に正確に科学的に示さない限り工事の着工をしないこと。
(回答)本事業では、飛砂対策として、整備にあたる事業者に対して現状と同等以上の飛砂防備機能を求めており、今後、具体的に対策が決定しましたら、市民にお示ししたいと考えています。
高潮については、神奈川県が定める防護水準高6.5mを大幅に上回る8.0m以上を地盤の基準高さとした安全な計画としています。
津波については、数千年に一度とされ極めて発生頻度が低い最大クラスの津波(L2)は、本公園の整備に関わらず国道134号を越えて、住居エリアに浸水することが予測されていることから、公園の整備前後で変わらずこれまで市が示してきた津波ハザードマップに従って、津波避難ビルなどに迅速に避難する必要があります。一方で、数十年から数百年に一度と発生頻度が高い、関東大震災クラスの津波(L1)は国道134号を越えないことから、これまでと同様に影響はありません。
なお、本公園の整備によって、市民が平塚海岸の景観や自然に触れる機会をこれまで以上に創出することができるものと考えており、防災面や自然環境へ配慮しながら進めていきますので、御理解いただきますようお願いします。
(事務担当はみどり公園・水辺課公園整備担当)
地震
①主要道路にかかる歩道橋の耐震確保は、避難の際の最重要事項である。昭和40年代に急速に建設されたものが多く、耐震診断基準がない上に、補修工事による錆・腐食部分の研磨のため部分的な劣化が激しい。天沼の湘和会堂前にある歩道橋は、階段、通路とも何か所もの腐食による穴が開き危険である。撤去も検討に入れた対策を求める。
(回答)天沼の湘和会堂前にある国道1号にかかる松原歩道橋につきまして、管理者である国土交通省関東地整備局横浜国道事務所へ確認しました。
御指摘の通り、腐食による孔を確認していますが、全体的な点検を令和2年6月に実施し、構造的に問題ないことを確認しています。また、令和2年8月に、歩道橋利用者が触れる箇所のさびとりと孔を塞ぐ補修を行いました。
神奈川県内の横浜国道事務所が管理している歩道橋は163橋有り、点検により構造的に補修が必要なものから、優先順位を付け、随時補修を計画的に実施しているところです。
現在、5年に1回の頻度で、近接目視による点検を実施し、構造物の状態を把握していきます。点検・診断結果に基づき必要な措置を適切な時期に着実かつ効率的・効果的に講じ、点検結果と共に記録して、点検→診断→措置→記録というメンテナンスサイクルを回す老朽化対策を推進しています。
また、日常パトロールも行っており、危険箇所については、応急処置も含め、随時対応しています。
今後もメンテナンスサイクルを継続的に回し、横断歩道橋を長期間にわたって健全な状態に保つことが可能となるよう推進します。
(事務担当は土木総務課国県事業推進担当)
※その後、令和3年秋に大規模な改修工事が行われました。
②地域防災力の強化として、人材の育成、継続的・日常的に活動できる地域自主防災組織の確立は、今後益々重要になっている。市は自主防災組織に対し、地形、地質など、地域の特性を知る資料を積極的に提供するなど、災害時の避難誘導に役立つ支援を行うこと。また、各地域の自主防災組織を巡回し、率先して災害時の基本的な行動、災害特性に応じた訓練を計画的に進めること。
(回答)本市では、地域自主防災組織等が行う防災訓練に職員を派遣して支援する中で、各地域の災害リスクの説明やリスクに応じた避難訓練などの実施支援を行っています。
また、令和2年度に一部の自主防災組織に対して実施した地区防災計画の策定支援を、今後市内全域に広めていく中で災害時の基本的な行動を周知し、災害の特性等に応じた訓練が計画的に進められるよう支援してまいります。
(事務担当は災害対策課訓練担当)
風水害
①近年の豪雨災害は予想をはるかに超え大規模になっており、平塚市においても河川の氾濫がいつ起こっても不思議ではない。県が管理する河川の浚渫を早急に進めるよう、今年も県に要請すること。(写真は金目川の深刻な土砂の堆積状況)
(回答)現在、神奈川県が管理する金目川では、なでしこ地区や片岡地区ほか5地区において、堆積された土砂の撤去等が行われています。また、鈴川では御殿四丁目ほか2地区、渋田川では、東豊田地区において堆積された土砂の撤去等が行われています。引き続き、市民の安心安全を守るため、河川改修工事とともに河川の浚渫の進捗が早期に図られるよう神奈川県へ要望してまいります。
(事務担当は土木総務課国県事業推進担当)
②大雨の度に、内水の逆流または滞留によって床上・床下浸水が後を絶たないことから、河川からの逆流を防ぐための対策を強化すること。大雨のたびに浸水する地域には貯水池を確保し、住民を災害から守ること。
(回答)河川からの逆流による浸水につきましては、フラップゲートや流向計の設置により逆流防止や監視を強化し、浸水対策を実施してまいります。
また、貯水池の確保については、浸水対策の手法の一つではありますが、用地の取得、建設維持に莫大な費用を要することや、公共施設の総量縮減の課題を踏まえつつ、設置効果や実現性などを精査し浸水対策を進めてまいります。
(事務担当は下水道整備課計画担当)
③「ほっとメールひらつか」の登録者を増やすことは大変有効であるが、多くの住民がほっとメールの存在を知っていない。地域の自主防災組織に防災の説明をするとき携帯電話やスマホへの送信方法を教え、迅速かつ正確に災害情報が多くの住民に届くことの重要さを知らせること。そして、自主防災組織から地域住民に伝達・周知を図る仕組みを作ることで、「ほっとメールひらつか」の生きた活用を図ること。
(回答)本市では毎年、自主防災組織研修会の中で災害情報の収集手段として「ほっとメールひらつか」の紹介もしており、自主防災組織の防災活動の中で広く周知していただくよう説明しています。
今後も自主防災組織研修会にて「ほっとメールひらつか」の重要性について説明を行うとともに、自主防災組織等、地域主催の防災訓練や防災講話など、多様な機会を通じて「ほっとメールひらつか」の活用を促してまいります。
(事務担当は災害対策課訓練担当)