松本とし子

まつもと 敏こ
日本共産党平塚市議会議員
活動ファイル

日本社会の新たな階層「貧困マジョリティ」・・・内橋克人氏

2012年1月8日

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8日付け朝日新聞に、経済評論家内橋克人氏の「貧困の多数派 歯止めを」という記事が載っていて、大変興味深く読みました。「日本社会でも新たな階層が生まれてきている。国民皆年金等基本的な社会保障からさえも排除された人達が多数派となる『貧困マジョリティ』だ。グローバル化やマネー資本主義が進み、非正規雇用が増えて中間層が崩壊する社会の到来は、危険な時代への予兆ではないか」と投げかけています。

貧困マジョリティの特徴は

「米国はじめ国内外の最強秩序形成者に抵抗する力もなく、生活に追われ政治的難題にまっ正面から対峙するゆとりもない。精神のバランスを維持するために「うっぷん晴らし政治」を枯渇する。政治の混乱を面白がり、自虐的に極めて反射的に表面的に評価して選挙権を行使する。大阪市の橋下市長の「ハシズム現象」も貧困マジョリティの心情的瞬発力に支えられている面が大きい。「地方公務員は特別待遇を受けている」とバッシングし、閉塞状況下の欲求不満にこたえていくやり方だ。」と語っています。

「民主政治を基盤とする国でのヒーロー待望論ほど異常なものはない。日本古来の「頂点同調主義」に加え、異議を唱える者を排除する「熱狂的等質化現象」が一体となる。「うっぷん晴らし政治」の枯渇を満たそうとすれば、1930年代の政治が繰り返される。」

貧困の装置化

内橋氏は、市場原理主義のもとで、貧困マジョリティを生み出す「貧困の装置化」が進んでいると指摘しています。

1つは消費税増税。

零細企業や地域経済を支えてきた地場産業は価格転嫁出来ずコスト引き下げを迫られる。所得税なら稼いだ人がたくさん納めるが、日本型消費税は貧困マジョリティを増幅させる「貧困の装置化」の手段となる。

もう一つはTPP。

日本がTPPに加入すれば、外資は日本政府を米国の経済法廷に訴えることができる。米企業はオーストラリアでの医薬品への公的補助でさえ「自由市場に反する」と問題視している。米国は、日本の国民皆保険制度を目の敵にしている。これはどんな貧富の差があっても病気になったら医師にかかれる制度で、国民的財産、社会的共通資本だ。これを崩せば一部企業のビジネスチャンスとなる。弱い所に社会的変動の影響が収斂するのだといいます。

グローバル化の中で、それに対抗できる新たな経済を

内橋氏は、新たな基幹産業として「FEC自給圏」を提唱。

F・・・Foods (食糧)  日本の食糧自給率は世界で124番目であるが、食糧自給は国の自立条件であり、それを進めることは新たな産業も形成する。

E・・・Energy (エネルギー)  日本では国策として原発を集中的に進め他の選択肢を排除してきた。しかし、再生可能エネルギーとしてデンマークでは風力・太陽熱による発電を推進してエネルギー自給率は今では200%近い。 

C・・・Care (介護)  介護を市場に任せるのではなく、社会による介護自給圏を形成すれば北欧諸国のように強力な産業になる。

「うっぷん晴らし政治」ではなく、世界のモデルに目を向け、地味でもいいからグローバル化の中で、それに対抗できる「新たな経済」を作ることが本当の政治の役割だと。

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こうしたことは、これまでも日本共産党が言い続けてきたことです。国民は、自公政権の悪政にこりごりして、ようやく政権交代を果たしました。しかし、全く国民の願いとはかけ離れた政治、さらに悪政に拍車がかかっている現状に、多くの国民が自虐的になってしまっている。声の大きい方向に流れる。短絡的に自分よりいい待遇を受けているものを敵視する・・。こうした政治の悪の本質から目をそらせ、公務員バッシングや議員定数削減、生活保護受給者への批判などに目を向けさせているのが、今の政権与党であり、これまでの政権党であることに気付くことが、政治を変える第一歩ではないでしょうか。

議員定数80人削減することで、浮くお金は年間33億円。しかし共産党以外の各政党に国民の税金が配られている「政党助成金」は年間320億円です。国会議員が多いために予算を減らすというなら、議員歳費700人分に相当する政党助成金を削ることが本筋のはず。まして比例代表の議員を削減するという狙いは、国民の民意を国会に届きにくくする(自分たちのやりやすい国会運営ができる)ことにあるのです。

公務員が削減されれば、即自分たちへのサービスの低下につながります。国会議員が減れば必ず一般庶民の意見が通りにくくなる。弱いものバッシングは、自分にも返ってくるものです。ことの本質を考えることなく、世論に誘導されやすい「貧困マジョリティ」が組織的につくられているとしたら恐ろしいことですが、確実に進んでいると思います。

ある家を訪問した時に「最近のお金持ちは選挙に行かないそうな。政治が変わっても自分の懐には影響ないから・・。やけっぱちになると、みんなの党や維新の会なんかに行くし、有権者がもっと賢くならないと政治はよくならない。」と言った人がいます。政治について私達はもっと多くの人と語り合う時間が必要です。


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