月に一度送られてくる加藤さんからのエッセイ。戦争を体験され、一途に平和を願って運動してこられた加藤さんの思いを知るたびに、自分の生き方について考えさせられます。そして、私の体の芯に何かが蓄えられていくのを感じます。
長生きして良かった
加藤 桝治
憲法9条を破壊し、日本を海外で戦争できる国に造り替える戦争法(安保法制)が安倍政権によって強行採決されました。成立したといっても「数の暴力」によるもので絶対許すわけにはいきません。すでに「悪法」を廃止させる活動が開始されています。
70年間続いた平和を、これで壊すわけにはいかないという国民の声・行動が日本中をゆるがせました。特に若者たちがすばらしい役割を果たし、闘いの展望を示してくれました。
平塚でも、戦争法反対の集会や、デモや、駅前での宣伝・署名などの行動が繰り返しおこなわれました。
署名を訴えていると、「私の父も南方で戦死しました。あの悲しさを誰にもさせたくない」「9条を守りましょう」と声をかけていく人、「戦争は絶対いやです」は一つの合言葉になって署名していきます。私も、駅前で戦争体験を話しました。開戦の4か月後、日本が最初に空襲を受けたとき、私の働いていた工場に直撃し、15人も死んだのに「誰にも言うな」と口止めされたこと。国民の目も耳も口をふさいで戦争に駆り立て、死ぬことが国の為だと教育されてきたこと。「こんなことを繰り返してはなりません」と訴えました。
国会周辺を取り巻く国民の輪は日に日に拡大していきました。
8月30日の「国会10万人・全国100万人大行動」に平塚の大部隊の一人として参加しました。地下鉄の桜田門駅をでると出口から一杯の人の波、やっと議事堂が正面に見えるところまで行きました。正面に特設されたメーンステージを見ることもできません。とにかくみんなが、思い思いのプラカードを持って、「戦争法案今すぐ廃案」「安倍政権は今すぐ退陣」「憲法守れ」など怒涛のコールです。とにかく若い人の多いのに驚かされました。主催した「総がかり実行委員会」から、「12万人が参加し、全国で100カ所以上数十万人が一斉行動に参加しました」と紹介されると「オー」と大歓声がわきあがりました。
9月13日には、横須賀市で「戦争法廃案、原子力空母いらない・横須賀大集会」が開催されました。
会場は、軍港を目前に見る公園に8000人が参加し、戦争法案を廃案にし、原子力空母ロナルド・レーガンの横須賀配備計画を撤回させる決意を固めました。この集会に平塚から大型バスも出たので私はこれで参加しました。行き帰りのバスで集会の感想や、戦争体験をはなしあい、明日からの闘いを誓い合いました。
全国に広がった、自覚的運動は、「戦争法廃止」に向かって前進を開始しました。国政選挙で戦争法廃止を掲げる勢力が多数を占める闘いの開始です。この歴史的な大闘争に参加できると思うと、長生きして良かったと思い、新しい力が湧いてきます。
(2015年9月末)
今、総合公園に咲いているバラを添えます。