安倍政権が進めようとしている 「教育再生」は、戦後教育を支えてきた「政治的中立性の確保」や「 首長からの独立性 」を謳った教育委員会制度を解体し、その自治体首長に教育行政の決定権を与え、首長の考える教育方針に変えられるようにするというもので、非常に危険な方向です。
教育委員会は、教育方針の決定や教科書採択を行う合議体の執行機関であり、そうしたもとで教育長が具体的な事務を行っています。しかし、今度は首長が執行機関となって、自分が任命した教育長が、教科書採択や教育内容、職員人事など一切の教育行政を行なうこととなり、教育委員会の役割は「付属機関」とされ、首長への勧告や教育長に対する事務の点検などに限定されるというものです。
第1次安倍政権の時から狙っていた、子どものうちから「愛国心」「戦争する国づくり」「原発推進思想」を教え込もうとする意図が前面に出てきた政策であり、過去の戦争の反省のもとに作られた「政治と教育の分離」を壊すものです。
教育委員会制度とは
1.教育委員会制度の概要
教育委員会は、都道府県及び市町村等に置かれる合議制の執行機関であり、生涯学習、教育、文化、スポーツ等の幅広い施策を展開する。
[教育委員会制度の意義]
政治的中立性の確保
個人の精神的な価値の形成を目指して行われる教育においては、その内容は、中立公正であることは極めて重要。
このため、教育行政の執行に当たっても、個人的な価値判断や特定の党派的影響力から中立性を確保することが必要。
継続性、安定性の確保
教育は、子どもの健全な成長発達のため、学習期間を通じて一貫した方針の下、安定的に行われることが必要。
また、教育は、結果が出るまで時間がかかり、その結果も把握しにくい特性から、学校運営の方針変更などの改革・改善は漸進的なものであることが必要。
地域住民の意向の反映
教育は、地域住民にとって身近で関心の高い行政分野であり、専門家のみが担うのではなく、広く地域住民の意向を踏まえて行われることが必要。
[教育委員会制度の特性]
首長からの独立性
行政委員会の一つとして、独立した機関を置き、教育行政を担当させることにより、首長への権限の集中を防止し、中立的・専門的な行政運営を担保。
合議制
多様な属性を持った複数の委員による合議により、様々な意見や立場を集約した中立的な意思決定を行う。
住民による意思決定
住民が専門的な行政官で構成される事務局を指揮監督する、いわゆるレイマンコントロールの仕組みにより、専門家の判断のみによらない、広く地域住民の意向を反映した教育行政を実現。
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安倍政権下でこの制度の根本が壊され、どんどん危険な方向に向かっている現状をストップさせたい。子ども達の未来に「戦争する国」をプレゼントしないために頑張るのは、今の私達しかないのですから・・!
(しんぶん赤旗 12月14日号)↑
(しんぶん赤旗 12月10日号)