松本とし子

まつもと 敏こ
日本共産党平塚市議会議員
議会の取り組み

議案第51号 平塚市職員の法令の遵守等に関する条例(案)

2014年9月14日

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(平塚市青少年会館前の広場)

私は、6月議会でもこの問題を取り上げました。今、この条例案が9月議会に出されています。そして、今回の議会質問でも何人もの議員が取り上げました。パブコメも行なわれ、市民の方からも意見が出ていますが、「パブリックコメント」は、「意見を聞く、そしてその意見に答える。意見があったら説明をする。」というもので、市は、市民から出た意見で考えを変えるという姿勢はとっていません。

今回、この条例案にどんな意見(パブコメの結果)が出ていたか、ご覧ください。

http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/common/100057896.pdf

条例案に対し、以下のように考えます。

●第2条では「職員とは」を述べており、 市長はじめ特別職・教育長を除く一般職の職員をいうとしています。

 この条例の制定理由は、近年、度重なる職員による不祥事や公用車による事故、業務ミスを反省し、再びこのようなことが起きないよう、法令の遵守に努め「市民の信頼を得る」というものですが、議会への説明文にあるだけで、条例では一切触れていません。しかしそうであれば、市として庁内上げて取り組むべき大事業であると認識しています。

 しかし、今回の条例案は、市長はじめ副市長、特別職は対象外で、職員で頑張ってくれというもの。他の多くの自治体では、市長が率先して法令遵守に努め、市民の信頼を得ていくとしている中、平塚市の「法令遵守」の考え方には市民に対し真摯な態度が見えません。

●第3条では「職員は、市民全体の奉仕者であって、一部の奉仕者でないことを深く自覚し」、とあります。この「一部」は、その時々の解釈に寄ることになり、第1条で「公正な市政の運営に資する」としながら、このような附則を付けることには違和感を覚えます。 強者に対して言っているようでもあり、中小零細業者、生活困窮者や障がい者、ひとり親など特段の支援が必要な人、市の施策に反対意見を言いたい人等に対する含みも感じる内容です。

・第7条では(公正な職務の遂行を妨げる働きかけへの対応)として「市は、職員が公正な職務の遂行を妨げる働きかけを受けた場合に、当該働きかけの内容、処理状況等を、当該働きかけを受けた職員に記録させ、保管し、公表する等働きかけに適切に対応するために必要な措置を講ずるものとする。

2項 「働きかけ」とは、職員以外の者又は団体が、職員の職務に関する行為であって、次の各号のいずれかに該当するものを求める行為をいう。ただし、公聴会、説明会その他の公開の場において行われるものを除く。

(1)法令に違反する行為

(2)その他公正な職務の遂行を妨げる行為もしくはそのおそれのある行為又は職務の遂行の公正さに対する市民の疑惑若しくは不信を招くような行為

とあります。これでは、市が決めたこと、決定したことに文句を言えば「公正な職務の遂行を妨げた行為」ととられることになります。(簡単な例で言えば、まちづくりの問題や税の取り立てに対し、市役所に行って反対意見を主張したり、怒ったりしたら「公正な職務の遂行の妨げ」ととられ、この対象となるわけです)

●第8条「コンプライアンス推進委員会を置く」 の2項に組織及び運営に関し必要な事項は別に定めるとあります。この内容が示されていませんが、市長はじめ市の幹部で構成されたら「お手もり」の審議になりかねません。ここには必ず第三者機関の委員を選任することが必要です。また、公益通報に対し、異議を申し立てる権利とそれを扱う組織も必要と考えます。

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 昨年10月に平塚市のコンプライアンス指針を改定したと言いますが、「コンプライアンス=法令遵守」は端に置かれ、もっぱら職員への人事評価制度の導入が主流になっています。ですから、「目指すべき職員」では、「市民全体の奉仕者」「公正な市政運営」という言葉はなく「持つべき姿勢」「持つべき意識・倫理観」「必要な能力」となっています。この3つが悪いというわけではありませんが、市民の目線からすれば、2の次のものです。

この条例案は、職員が法令遵守するには、遵守しようとする職員に圧力をかけて妨げるものがいる、それをとり払うことが先だと言わんばかりです。

 パブコメにもあるように、①「法令遵守はトップ自ら率先して垂範すべきもの」、②「地方公務員法、平塚市自治基本条例、道路交通法を遵守すればいいことで、わざわざ条例をつくる必要はない」などの意見は、当然の意見であると思います。

市民が望む市の職員像

そして、本当に必要なことは、「鳥取県職員コンプライアンス行動指針」(↓をクリック)で示している以下のことであると思います。

http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/427813/honbun.pdf

Ⅲ 管理監督者の役割と実践

(日頃心がけること)

・日頃職場の状況、抱える問題・リスクなどを点検しておくこと。

・各担当者の業務における前例・慣行について、法令上問題がないか検証されているか確認すること。

・気持ちの良い挨拶および積極的な声かけにより、部下職員が相談しやすい雰囲気作りに努め、相談があった場合には真摯に耳を傾け、適切な指導・助言を行うこと。

・担当職員と利害関係者との節度を持った対応について留意し、適切な指導・助言を行うこと。

(組織的問題以外にも・・・)

不祥事の中には、当然、行政行為以外の職員個々の属人的な不祥事も考えられます。代表的な例は、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントですが、管理監督職員自身が無意識に行っていることもあります。自らの行動も含めて点検し、職場内外での該当行為を見過ごすことなく、適切に注意・指導を行うことも必要です。

Ⅳ 問題発生時の対処

不祥事、問題などの発生リスクがゼロになることはありません。組織として、不正、事故などはどこでも起きる可能性があるものだとの意識を浸透させ、問題等の目が小さいうちに対応できる健全な感覚を職員の中に育てていくことが大切です。(中略)我々の仕事は組織を守るためのものではありません。県民のために仕事をしているという意識を常にもって、問題発生時の対処を行ってください。

Ⅴ 相談、通報

(教訓とすべき事例)  としてH18年に起こった事例を分析しています。

○かかわった職員全てが、社会的良識を欠くような職員だったわけではなく、不適切な上司の命令、不適切な組織的慣行などにより、不適切な行為だとわかっていながらもやってしまうのが、組織の論理により不祥事が発生する場合に共通する状態であり、十分に注意することが必要です。不適切な職場の方針、上司の命令などの組織の論理により、個人の正しい認識及び行動が歪められてしまったものと考えられます。

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特記しただけでも、本当に心の通った、誰もが納得いくものではありませんか。本当に市民に信頼を得ることが目的であれば、職場環境を改善し、来庁した市民が気持ちよく対応してもらえることです。

市民の前に真摯に反省し、法令遵守するなら多くの自治体のように市長自ら実行すべきです。平塚市の条例案は、市長や特別職の責任は抜きにして、市職員に厳しく成績主義を押しつけ、市の施策に対し異論がある人に威圧感を与えるものにほかならず、かえってこの条例制定は市民にとって益はなく害の方が大きいと考えます。


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