国民の所得は減っているのに、国保税は上がり続けています。そんな中で、払えなくてわずかな金額をとりあえず払って短期証をもらっているという人が増えてきています。
1984年、政府は国保の国庫負担を45%から38.5%まで引き下げました。
それ以降、市町村の国保財政は厳しくなり、国保税が次々値上げされてきました。
サラリーマンなどが入る健康保険料は事業主が半分払うということもあって、国保税はこれに比べたら2倍から3倍という高さになっています。
平塚市民に国保税について聞いてみました。7人家族のあるご家庭では、年間46万円強を払うため、貯金を下ろして一括払い。「とても痛いよ」といいます。
また、年金生活のご夫婦と母親の3人のあるご家庭では、年間26万5500円が口座から引き落とされています。「その上介護保険料も年間5万円以上・・。
92歳の母親も年金から3万6000円引かれているんですよ。92歳にもなっている人からもこんなに取るんだからねぇ。」と嘆きます。
これだけの大金です。家庭に何か起こったらたちまち払えなくなる人が出てくるのも当然です。
あるご家庭では生活が苦しくてとても毎回1万7000円ずつの保険税は払えず、滞納したら雪だるま式に膨らんでしまい、さらに払えなくなって毎月市役所に数千円を持っていって短期証を受け取っているという人もいます。
夫の仕事が変わり、以前ほど収入がない上に、奥さんもけがをして働けないというご家庭があります。とても国保税を毎回2万4000円も払えず、持っていた1000円を払って短期証をもらってきた・・など切実な訴えがあちこちで聞かれます。
保険税の滞納で保険証をもらえず、病気を我慢して死亡したとみられる人が神奈川県内でも03年に4人確認されています。この4人のうち3人は「無保険」状態だったといいます。滞納の期間が長くなると、国保証の変わりに「資格証」が発行されます。
この資格証では、病院にかかるとまず一旦医療費の全額を払わなくてはいけません。あとから7割戻ってきますが、滞納していた保険税をそこから取られることもあり、手元には戻らないというのが実情です。「とてもそんなお金はない。」となれば、病気を我慢するしかありません。
これでは、国民に医療を保障するという国民皆保険制度の意味をなしません。これを立て直すにはまず国庫負担を元に戻すことが急務であり、平塚市としてもしっかりと国に要望していくことが求められます。
医療制度「改革」案では 65歳以上の人の保険料は年金から天引き!?
年金からの「保険料」天引きはすでに、介護保険で実施されていますが、今度の通常国会に厚労省が提出を予定している医療制度「改革」案では、65歳以上の高齢者の年金から国保料(税)も天引きする方針です。
新たに75歳以上を対象とした「後期高齢者医療制度」の保険料にも実施する予定となっています。
政府が導入を予定している新しい高齢者医療制度の保険料は、08年度の推計で年平均6万1000円。厚労省の試算では、2015年には年8万5000円になるとしています。低い年金で国保料を払えない人からも強制的に徴収するもので、生活そのものが脅かされかねません。