大藏市長が今議会に提案された「小児医療費無料化の所得制限の撤廃」の議案が、最終日の6月27日否決され、子育てしている多くの市民の要望であった「所得制限をなくして!」という声が、叶いませんでした。
議員はことあるごとに、この要望を聞いてきたはずです。
しかし、予想されていたことですが、ある会派は「所得制限はあっていい。そんなことよりもっと使うところがあるだろう。」という。もう一方は、市長案に反対して「所得制限はつけて、小学一年生まで無料化を拡大せよ。」との対案を出してきました。
私たちは「子供が成長する過程に親の収入によって差をつけるべきでない。小児医療費は、義務教育の間は無料にし、誰でも安心して子育てができる環境を整備すること」を主張してきました。
だから、「市長案は今年の『10月』から所得制限撤廃実施といっている。撤廃できる体制ができたところから前進すべき。しかし、『対案』である小学校1年生までの無料化(所得制限付)が10月から実施というなら、考えたい。」としましたが、実現させようという努力はなく、来年の4月からという方向を変えませんでした。
私たちは「来年の春のことは今後も検討できる問題。まず、市長案の10月から所得制限をなくすということから実施すべき」としましたが、本会議では賛成少数で否決されてしまいました。
子育て中の家族は、高齢者の収入と違い、大きな差はありません。今年から所得制限額は少し上がりましたが、年所得532万円が基準となっています。共働きの家庭では、税金はしっかり両方から天引きされて、保育園料も収入によって高い額を払い、夫婦で働くからには時には二次保育の手立ても必要ですし、働くにはそれなりの出費がかかります。所得制限があったら入院の費用なんて大変なこと。
お母さんのなかには、「我が家は、住宅手当が付いたために所得制限に引っかかって、病院にいくたびにお金を払わなくてはいけないんですよ。」と嘆く声も聞かれます。
ほんのわずかの違いで、大きく負担がかかってくるのです。
今回、大藏市長が述べられた「子供の成長に、親の収入の多い少ないで差があってはいけない」という言葉は、互いに目先の収入でつつきあう社会でなく、もっと「人間として」生きる「当たり前」の立場に立ったものとして感動しました。
やっと、そういえる条件が整い、それを受け止める市長がいるのです。しかし、議会というところは「当たり前が通らないところ」となっているのが現状です。