「地域経済の振興と地方財政のあり方」
23日は、立命館大学の森裕之教授の「地域経済の振興と地方財政のあり方」の講義を聞いてきました。
地方自治体の振興策は、これまでの外来型開発(国からの補助金や工場誘致)への安易な依存ではなく、内発的な地域振興政策への転換が必要であるということが、講義の中に一貫して通じており、大変興味深く聞きました。確かに企業誘致で成功した自治体も多くあります。しかし、グローバル化の中で立地企業が撤退したあとの自治体が受けるダメージは非常に大きく、様々な地域で問題となっています。この連鎖からの転換が必要になっているということが強調されていました。
本社が外部にある工場を誘致しても、今までの社員が移動するため地元からはほとんど採用しない。売り上げは本社へ。いなくなれば固定資産税が減っていく。こうした外来型振興策ではまちは発展しない。地域に根ざし、住民のアメニティ(住み心地の良さ)を基本とした福祉や文化が向上するまち、産業開発を特定業種に求めず、様々な産業部門にわたるようにし、その付加価値が色んな形で地元に帰属するような地域産業の連関が大切だと語りました。
街の活性化
飯田市では「文化経済自立都市」を新しく理念として掲げました。どういうことをしているか、一つの事例をご紹介します。
温室効果ガス排出量を70%削減するという計画の中で、市内にある防犯灯のうち3000基を蛍光灯からLEDに切り替えることにしました。環境省から8700万円の補助金を受けたが、当時LEDが1灯当たり6万円ほどしたため、考えた。
3000基を全部取り換えるには多額の費用がかかるし、せっかくの補助金を市外の事業者に支払うのは惜しい。そこで、飯田市は、市内事業者に投げかけました。「1灯2万円以下で抑え、2ヶ月後に試作品を作り、5ヶ月後には納品が始められる」ことを条件に。
そうしたら、三和精機など10社とアートデザインシステムなど7社が二つのグループに分かれて事業を引き受け、共同開発を実施したといいます。ついに、この三和精機グループは世界初の発光部分が曲面になった「ウイングライト」を、アートデザインシステムグループは業界最軽量の「サイドビュアー」を完成させたといいます。
そして価格は1万8000円。これによってこれまでの蛍光灯の3分の1のCO2削減となったといいます。
地元の中小企業のすぐれた力を発揮することで、地元が潤い、地元で資本が循環する仕組みが、まちのありようだということを実感するものでした。
政令指定都市相模原の産業振興政策
その後、相模原市環境経済局経済部 産業・雇用政策課 担当課長の原田道弘氏の実践報告がありました。
相模原市はリニア中央新幹線を橋本に誘致するようJR東海に要請。開業は東京ー名古屋間は2027年に、大阪までは2045年という目標であるといいます。これによって東京・相模原間は約10分で行き来できるようになるとのこと。
しかし今、工業地域における企業の撤退で、どんどん住宅が建つようになり、もともとあった工場が「騒音」「振動」などで住民から苦情が絶えない深刻な現状の報告がありました。