今日伺ったお宅は、2年前に81歳のご主人を亡くされ、今年3回忌を迎えます。お墓が東京にあるため、これから息子さんが迎えに来て、東京で一緒に3回忌の法要を済ませ、そのあと皆で旅行に行く予定だと・・・。
奥さんは、ご主人が去られてしばらく沈みがちでしたが、優しい息子さん達に支えられ、半年後頃には少し元気を取り戻し、最近では私自身も今までと変わらない思いでお付き合いしてきました。
だから、息子さん達と出かける予定と聞いて「じゃあ、気をつけて行ってきてくださいね。」といって帰ろうとしたとき、彼女は「お父さんが居ないと、ちっとも楽しくないんです。」と、突然、ぽつんと言ったのです。
いままで、本当に仲睦まじいご夫婦の姿を見てきただけに、その何の飾り気もない言葉が彼女の本心だということが痛いほどわかり、思わず彼女の前で、ポロポロ涙が出てしまいました。元気なように見えていたけれど、居たたまれない虚しさに堪えていたんだ・・ということを知りました。
「主人がいた時は、どこに行っても茶の間の続きでした。でももうそれがないんです。」と・・。
まだ経験しない(しなくて済みたい)深い悲しみの淵(ふち)を見た思いです。