国の政策に対し、即、家計に響く問題はだれもが敏感に反応しますが、しばらく続けているうちに「なんでこうなったのだろう」と気付かされ、あまりの影響の大きさに愕然とする問題もあります。
しかし、「自分たちが選んだ国会議員が決めたこと。だから選挙民が賢くならなくては駄目」といわれ、落胆の溜飲を下げる。こんなことを繰り返していないでしょうか。
小泉構造改革は、80%近い国民の異常な人気度の中で進められましたが、その悪影響たるや、国全体が何年立っても引きずり、立ち直れないほどの影響を受けています。
ようやく気付き、国民の思いが政権交代を成し遂げた。
しかし、規制緩和で非正規切りが横行し、未来に展望が持てない若者をこんなに作り出し、「何とかして!」と悲痛な声に、結局民主党政権は何もできずにいます。
それどころか、さらに小泉構造改革路線のつづきを進めようとしているのが、TPP参加です。
18日の予算委員会で日本共産党の笠井亮衆議院議員が行った質疑の記事をご紹介します。(しんぶん赤旗より)
衆院予算委員会は18日、環太平洋連携協定(TPP)について参考人質疑をおこないました。意見陳述をした横浜国立大学大学院の萩原伸次郎教授は、「TPPは『第三の構造改革』だ」と主張。米国の「外国貿易障壁報告書」を取り上げ、米国がTPPで日本に求めているのは農業、医療の自由化と郵政民営化だとのべました。
萩原氏は、TPP参加にあわせて、(1)農業への企業参入と農地所有(2)医療の自由化と保険制度改革(3)郵政民営化―がすすめられようとしているとのべ、「日米の共同戦略が実行される」と強調しました。
早稲田大学の堀口健治教授は、TPPによる関税撤廃によって国内農業や雇用が大打撃を受けることを示し、「輸入農産物との価格差を補てんする財政負担は想像できないくらい大きく、難しい」と指摘しました。
日本経団連の久保田政一専務理事は、参加しないと「国際競争力を失う」と大企業の利益を主張し、TPPへの「早い段階からの参加」を求めました。
日本共産党の笠井亮議員は、TPPをすすめるアメリカの通商政策の変化の背景と、日本経済に与える影響を質問。
萩原氏は従来の通商政策が破綻した米国がアジア市場に食い込む狙いがあり、日本の菅政権を抱き込むという戦略によるものだと指摘。「あらゆる関税障壁を撤廃させるTPPがさまざまな製品の安売り競争を招く。企業数の約99%、従業員数は国民の7割を占める中小企業への影響は大きく、日本経済に深刻な影響を与える」と答えました。
TPP参加は、日本の農業問題だけでなく、若者の雇用をさらに脅かすものだということがはっきり述べられています。
民主党政権は、小泉自民党政権がやり残した「アメリカいいなり政策」を補完するものでしかないということです。