の9月議会に、3つの工事請負契約締結の議案が提出されました。その中の「吉沢浄化センター建設工事(土木・建築)」の入札に、調査基準を下回った入札があり、落札決定を保留し、低入札価格調査委員会が調査を行ったということがわかりました。
予定価格(税抜き) 3億2502万円
調査基準価格(々) 2億7790万円
最低限度価格(々) 2億5137万円
落札価格(々) 2億5200万円
落札率77.5%
低入札調査基準価格とは
契約において、その金額を下回った場合契約内容に適した履行がされない恐れがあるため、調査委員会が入り適正な工事が行えるのか資料を提出させ調査を行うラインの価格とされています。ダンピングや、過度な低価格入札によって労働者の低賃金化防止の意味も含まれています。
今回、この入札に参加した事業者は9社。そのうち1事業者は棄権し、7事業者が調査基準価格を下回りました。
そのうち1社は最低限度価格を下回ったため失格となり、その上の事業者を調査した結果、大丈夫であるとの結果のもと、落札されたというものでした。
今回、総務経済常任委員会で調査内容はどういうものだったのか、調査結果は下請けで働く人たちの人件費も大丈夫だったという判断だったのかと質したところ、「そうです」ということでした。
この低入札調査基準価格を調べてみました。各自治体によって基準が違い、平塚市では昨年の4月・6月の2回に渡り変更したということです。
国土交通省の基準は以下のとおりです。
【見直し後の範囲】
予定価格の7.0/10~9.0/10
【見直し後の計算式】
直接工事費×0.95
共通仮設費×0.90
現場管理費×0.70
一般管理費等×0.30
平塚市の調査基準価格の算定は、以下のとおりです。
【見直し後の範囲】
予定価格の10分の7.5から10分の9
【見直し後の計算式】
直接工事費の額に10分の9.5を乗じて得た額
共通仮設費の額に10分の9を乗じて得た額
現場管理費の額に10分の7を乗じて得た額
一般管理費の額に10分の4を乗じて得た額
さらに、平塚市ではいままで設計金額1億円以上の契約を低入札調査基準価格の該当としていましたが、今年の2月から1億7千万円以上の事業に引き上げました。
昨年の見直しで国の基準より上がっています。これは、神奈川県などは公共工事の地元契約率が3割未満だったという調査結果等を基に、地域建設業の振興に関する緊急対策の実施に向け、国は自治体でもこの基準を引き上げるよう要請したことにあります。
やはり、「公契約条例」が大切
現場管理費や一般管理費の率が上がったり、さらにその額が予定価格に近づけば、業務に携わっている社員の給料・賞与、諸手当、福利厚生費などが上がり、建設業の下請けなどの労働者の処遇改善に繋がると思っていましたが、必ずしもそうではないようです。
それは、現場管理費や一般管理費の率を上げた分、しっかりと賃金や給与が上がっているかを調べる権限がどこにもないからです。最低賃金を上回っていることは契約の前提として見ており、契約時と契約後の人件費が違っても事業者はそこまで市に報告する義務もありません。自治体が契約金額を上げた分がしっかり労働者の賃金に反映されていることを確認するには、やはり「公契約条例」がないと担保されません。