税金のムダづかい根絶を力説し、ムダ削減が「1丁目1番地」であるという民主党。そのために、衆議院比例区の議員80人削減を年内に実施したいという。
小選挙区制は、地域を細かく分けて、そこから少数議席しか当選できないようにしています。だから投票しても、当選に結びつかない票(死に票)が多く出ます。
しかし、比例代表制は得票数に応じて議席が配分され、投票した国民の思いが議席に反映される仕組みになっています。
民主党は、その「国民の民意」である少数意見をこれまで以上に封じ込め、小さい枠から選出される限られた議員で国会を運営して行こうというのです。そうすると、どういうことになるかが上の表に現れています。
昨年の総選挙結果で試算すると、民主党は比例得票率42.41%で全議席の68.5%になり、3分の2を占めることになります。参院で法案が否決されても、単独で再議決が強行できる、まさに「一党独裁」です。
仮に80人の議員削減を行っても削減額は56億円だといいます。ところが、国会議員に支払われている「政党助成金」は毎年310億~320億円といわれています。これは、1995年に「続発する政治腐敗事件の多くが政治家をめぐる企業・団体献金に起因することにかんがみ、公費助成の導入などの措置によって廃止の方向に踏み出す」と、企業・団体献金の廃止を口実に始まったものです。
しかし、一向に企業・団体献金はなくならず「二重取り」を平気でやっているのです。こうした政治家や政党に、税金で政治活動を保証するために助成しなくてはならないのでしょうか。
民主党は事業仕分けで「税金の無駄」を暴くがごとく、厳しく指摘していますが、「政治家自ら身を切る」ことを宣言するなら、国民の民意を切り捨てる「議員削減」ではなく、自分の懐に入る多額な税金をまず「カット」することが先決ではないだろうか。
1995年以前には、もらわずにやっていたのですから!
企業・団体献金を受けない努力をするどころか、いまや「企業も重要な社会的存在だ」などと温存を決め込んでいます。
世論の厳しい批判を受け、2000年から政治家個人の資金管理団体向けの企業・団体献金は禁止を余儀なくされましたが、政党本部や政治家が代表を務める政党支部が企業・団体献金の受け皿となる“抜け道”をつくりました。
以来、日本共産党以外の各党は、企業・団体献金と政党助成金の“二重取り”を続けてきているのです。
議会制民主主義を脅かす策動の前に、本気で自らの身を削るために「政党助成金の廃止」をやるべきです。