建物の建て方、道路や公園の整備、緑化、塀の造りなど街全体を総合的に決めるものが「まちづくり条例」です。平塚市内でも、大型店舗やギャンブル場、高層マンション建設が住民の知らないうちに決まってしまい、トラブルが絶えません。
そこで、住民が安心して生活でき、事業者側もルールに沿った開発をすることでトラブルを防ぐ「まちづくり条例」を早期につくろうと、市民委員を募集して市民の意見も取り入れ、条例制定の準備が行われてきました。
今年八月ようやく「まちづくり条例素案」ができ、市民の方々にパブリックコメント(意見募集)を行いました。
その中で開発事業を、大規模・中規模・小規模の三つに分け、小規模開発事業の面積は500~3000平方メートル未満、建物の延床面積も500~3000平方メートル未満のものとしています。
この小規模開発事業は、建物の高さが10メートル以下、2階建て以下であれば、近隣住民への「計画の公開」「説明会の開催」「意見書・要望書の提出」等すべての手続きを行わずに、市と事業者の協議だけで開発ができることになっています。
担当課はその理由を「いままで、この範囲の建設でのトラブルは発生しなかった」と説明していますが、本当にそうだったのでしょうか。
いままで、住民は知らされずに有無をいう隙もないまま建物が建てられてしまっていたのではないでしょうか。
「平塚市都市(まち)づくり条例市民会議」が最初に出した〔原案〕では、500平方メートル以上、高さ10メートル以上、3階建て以上の開発の場合は、計画の公開、看板の設置による周知、住民に対する説明会の開催を義務付けていました。それを今回、大幅に書き換えて「素案」として出してきたのです。
今までトラブルがなかったとしても、条例を盾に新たなトラブルが出てくることも想定し、条例策定にあたってはしっかりと安全を期すべきです。
3000平方メートルというと、30坪の家が30軒建てられる面積です。そんな大きな土地でも、条例で規制がなければ24時間営業の2階建てのスーパーの建設も可能です。
神奈川県内で同種の条例をつくっている鎌倉・厚木・茅ヶ崎・小田原では開発面積500平方メートル以上から地域住民に説明会などを行い、事業内容を知らせるよう義務付けています。
担当課は「トラブルがまったくなかった部分に、手続き等で事業者側も行政側も余分な時間を使うことはない」と言っていますが、こうした「まちづくり条例」を後発で制定する自治体が、他市よりゆるいものを創ってトラブルの原因にしてしまったら、恥ずかしい話です。
市民派の会の後藤議員と端議員、神奈川ネットの厚見議員、無所属の江口議員と共産党議員団(渡辺・松本)の計6名は、17日、市長と面談し、「小規模開発とした部分では今までトラブルはなかった」ということで、その部分を条例で謳わないというのでは根本的なトラブル解消にならない。
パブリックコメントで市民からも3000平方メートルは小規模とは言わないという意見も出ているように、しっかりとトラブルを防ぐ条例制定を求める旨の要望書を添えて申し入れを行いました。
要望書は以下の通りです。
要望1
「中規模開発事業」の範囲を広げ、「小規模開発事業」の見直しを求めます。
要望2
「小規模開発事業」について、早期の開発事業計画板の設置、住民への全体説明会等の開催規定等を加え、事業計画に関して行政からの指導・助言を行うことを加え、地域共生開発事業という発想に基づいた条例にすること。