日本国憲法を変えようという動きの中、憲法制定に奔走した「佐藤功氏」(1985年~東海大学教授)のことを知りました。
1945年、日本は「民主主義」や「基本的人権の確立」が盛り込まれた「ポツダム宣言」を受諾し、太平洋戦争は終結しました。これまでの「大日本国憲法」ではそれが達成できないため、幣原喜重郎首相(当時)によって新たな憲法を作るチームが編成されました。しかし、最初の日本側の案は、ポツダム宣言の内容が充分達成されていなかったためGHQが草案を作って来た。これが、改憲派が主張する「押しつけ憲法」の由縁です。しかし、GHQが作った民主主義や平和、人権が盛り込まれた草案は、天皇制政治が続いた日本の政府にはとても書けない素晴らしい内容だった。
日本政府はこの草案をもとに、日本に必要な文言を加えたり、外国の憲法を調べたりと、日本にとってより良い憲法を作ろうと奔走したといいます。このメンバーに佐藤功氏がいます。佐藤氏は1955年に「憲法と君たち」という本を書いています。この年は「憲法改正」を党是とする「自由民主党」が創設された年です。
佐藤氏(2006年肺炎のため死去。享年91歳)はこの本の中で、日本の将来を担う子どもたちに「人間は今まで平和と民主主義と基本的人権とをうちたてるために、何千年もの長いあいだ努力をしてきた」「今の日本の憲法を、どんなふうに変えてもいいということにはならないということが、君たちにもわかるだろう」と問いかけています。この本は憲法施行70年を記念して、首都大学東京法学系教授・木村草太氏の尽力で時事通信社から復刻版として出ました。
当時、憲法がどんな思いの中で作られたか、それによって70年間戦争がなかった「9条の力」を読んでみませんか。