共産党議員団は、平成23年度一般会計・特別会計決算、平塚市病院事業会計決算に賛成しましたが、多くの問題点もあり、指摘し、要望を付して討論しました。
(平塚球場の木々も色づきました)
討論の内容です。
日本共産党平塚市議会議員団を代表し、ただいま議題となりました認第1号 平成23年度平塚市一般会計・特別会計決算、認第2号 平成23年度平塚市病院事業決算に対し賛成の討論を行います。
まず初めに一般会計についてです。
歳入決算総額は786億8千万余円、歳出決算総額は747億7千万余円となり、差引額39億1千万余円、実質収支額は29億4千万余円となり、単年度収支では3億9千万円の黒字となりました。
歳入では、法人市民税は平成22年度に12億3千万円の増収となりましたが、昨年は再び12億1千万円の減収となり、東日本大震災や円高の影響によるものであるとの説明がありました。個人市民税は、平成22年度に15億6千万円減少しましたが、昨年はさらに1億9千万円の減となり、市民所得の減少、生活の厳しさが浮き彫りとなっています。市税全体では、前年度比で10億3千万円、率にして2.4%の減少となりました。
財政力指数が平成22年度に0.97となって平塚市は10年ぶりに交付団体となりましたが、平成23年度も0.965と、2年続けて交付団体となって12億2千万余円が交付されています。
義務的経費は、児童福祉費の子ども手当、障がい福祉費、生活保護費などの扶助費が前年度比で10億5千万円増加となりましたが、人件費では2年連続5億円余の減額が行なわれ、公債費も前年度比で2億3千万円の減となり、義務的経費全体では2億9千万余円の増となっています。
様々な財政指標を見ても、平塚市の財政状況は他市と比較しても非常に健全財政であると言えます。委員会で予算執行率が92.6%と低い結果となったのは、次年度への繰越額が大きかったためとの答弁がありました。しかし、その繰越額を引いたあとの不用額は、32億円と過去最高の不用額となり、そのうちの20億円が民生費であることからも、住民の暮らしや福祉に関わる部分にまで執行抑制がかかったのではと危惧しています。住民の福祉の増進に寄与する行政の役割をしっかりと果たすよう、改めて指摘するものです。
自主財源の要である「市税収入」の減収は、行政運営を行う上で大変厳しい状況となっています。特に個人市民税は、平成16年度の地方税法の改定で大きく跳ね上がり、この間住民の暮らしを大変なまでに圧迫してきました。
平成16年度に市民税の均等割が2500円から一律3000円になりました。そして、平成17年度には配偶者特別控除上乗せ分の廃止、納税義務を負う夫と生計を一にする妻への課税、平成18年度には定率減税の縮小、所得125万円以下の高齢者の非課税廃止、老年者控除48万円の廃止、65歳以上の公的年金最低控除の引き下げが行なわれ、平成19年度には定率減税が完全に廃止となったのです。
この税制が実施されたのは、全国的にリストラや非正規雇用の嵐が吹き荒れ、平塚市でも多くの市民が不安定な収入に苦しんでいるさ中でした。平成20年度の納税額は168億円となり、平成17年度に比べ40億円も増税になりましたが、とうとう平成22年度から減少し、この2年間で15億円もの減収となっています。
税収の不足を新たな増税で賄おうとすれば、逆に景気を悪化させ、デフレスパイラルの原因になりかねません。経済対策、雇用対策などを強め、若者をどんどん取り込むような施策に率先して取り組むことを要望するものです。
個別施策について、
* 平和意識普及・啓発事業で市民広島派遣事業が再開され、10組20人の方が「平和の大切さ、戦争の悲惨さ」などを感じてきたことが報告されました。職員が随行して直に市民の思いをくみ取ることは、この事業をやる上で大変重要だと感じています。今後もさらに充実することを要望します。
* 防災対策費では、各防災拠点や公的施設などに、投光機、発電機、防災行政用ラジオ、MCA無線など様々な資機材が配備されているが、全く使用されず、使い方もわからないと言った実態があることを指摘しました。これらは、いざという時の地域との伝達手段、情報収集に活用するために配備したものであり、充分機能するよう、総点検と講習会を早急に行なうことを求めます。
* 市税収納及び滞納整理事業では、充分市民の実態を把握すること、減免制度の活用やゆるやかな分納方法を示し、差し押さえありきの整理は行なわないよう求めます。
* 住宅手当緊急特別措置事業は、離職票など申請できる条件が整わない人には活用できず、緊迫した人を救えるものになっていません。その事業が使えない場合どのような施策があるか、一人ひとりの相談者に最後まで向きあう体制が求められています。「市民のこころと命を守る条例」の本旨に関わる問題であり、きめ細かな対応を求めます。
* 生活保護対策事業について。生活保護法第63条による返還金は、対応によって防げるものと考えます。多くは、受給初期か変更時で、実態がよくわからない時に起こっているものです。
これを防ぐために、まず「文章」で規則を示すこと、受給開始3ヶ月までの期間に受給者と他の収入の有無を確認する機会を設けることを強く要望するものです。
* 保健センターの利用について。保健センターには講堂や会議室など6つの貸し室があります。委員会では平日、昼・夜、土日含めて131件の利用との答弁でした。毎日、午前・午後・夜と使用できる場所が年間2%弱しか利用されていません。条例にある「利用施設を利用できるもの」の規定を見直し、市民に開かれた施設にすることを求めます。
* 公園整備事業では、市内にある公園は269ヵ所あるが、キャッチボールなどが出来る公園はそのうちの4か所しかないとの答弁がありました。今後、子どもたちがのびのびと体を動かし、球技が出来る公園の設置を強く要望します。
次に、国民健康保険事業特別会計についてです。
* 平塚市の国保加入世帯の所得は、200万円以下が全体の77%。その中で所得なしが41%。若い世代の加入者では所得なし・もしくは33万円以下が多いとの回答でした。病院にかかれない人を出さないよう、これからも充分な相談体制に取り組むよう要望致します。
認第2号、平塚市病院事業決算について。
市民病院は、地方公営企業法全部適用から2年がたちました。市民病院の運営方針として、昨年5月に「平塚市民病院経営計画」が策定されました。その中では、「地域医療・患者支援室」のMSW(医療ソーシャルワーカー)の役割が大変重要になってきています。
今、退院後は自宅へ帰るだけではなくなりました。MSWの業務は、インシュリン注射、吸引、酸素吸入などが可能な自宅環境か、老健や特養、在宅介護施設などとの連携、地域病院との連携、患者の紹介など多様な業務が凝縮されています。また、入院患者の相談業務の重要な場でもあります。そうした点からも充分な職員配置と専門性の向上を願うものです。
また、DPCデータ分析を活用した経営管理、FMS(民間事業者との共同事業)方式の導入や、物品管理システムの見直しなどでコスト削減を図り、これら一体となって、3億8000万円の黒字となったものと思います。
今回、みんなの意見が自由闊達に出せる土壌になっていないという職場風土の問題も提起されました。今後、医師や医療・看護職員が長く働ける、明るい職場環境の構築を求めるものです。
事業管理者が求める職員の意識改革、「患者さんの意識をどう受け止め、どう返せるか」また、「良い医療を提供することによって健全な経営が出来る。健全な経営なくしては良い医療は提供できない」の言葉に尽きると思います。
病院保育所の利用条件は他市の方法も研究し、職員の休日も利用可能にできる保育所にすることを求めます。保育職員の賃金を考えていては、看護職員の確保は見込めません。「子育て中の職員が居続けられる職場こそ、より良い職員、より良い病院の第一条件」と考えます。
看護学校の奨学金制度は、活用を広げるために看護学校だけでなく高校にもPRしていくことを要望します。また、日常たゆまぬ栄養管理、調理に携わる職員の活躍もホームページで紹介し、活気ある市民病院をアピールしていただきたいと思います。
今後も自治体病院の使命である「地域住民によってつくられた自治体病院は、その地域に不足している医療に積極的に取り組むとともに、地域の医療機関や行政機関等との連携を図りながら、公平・公正な医療を提供し、地域住民の健康の維持・増進を図り、地域に貢献する」ことを強く求めるものです。
以上、決算特別委員会の中で議論した点に対し、意見要望を含め述べてきました。これらを今後の予算に反映することを求め、平成23年度一般会計、特別会計、市民病院事業決算に賛成の討論といたします。