名もない一市民が無実の罪に陥れられたとき、大きな権力のもとでは手も足も出ず、狂おう程の思いを胸に刑務所で一生を送ることになってしまいます。権力による人権侵害や、冤罪事件で苦しんでいる人を救援し、人権と民主主義を守る国民救援会は、これまで、非常に多くの「冤罪」を暴き、無実の受刑者とともに裁判を闘い、「無実」を勝ち取ってきました。
(平塚球場の周りに咲くバラと猫)
みなさん、「仙台・北陵クリニック事件(筋弛緩剤冤罪事件)」を覚えていますか。連日のようにテレビでも、新聞でも報道されました。毎日守大助さんの写真が大きく映し出され、誰の目からも「真犯人」「残虐な事をするもんだ」と思わされてきました。しかし彼は、2001年に逮捕されて以来、ずっと無実を訴え続け服役しています。
国民救援会は、次の理由から彼が「無実」であると確信を持ち、一日も早く彼が家族のもとに戻れるよう運動してます。
●筋弛緩剤(マスキュラックス)は検出されていない
判決では「検出された」としていますが、大阪府警科学捜査研究所のデータは「化学分析」に値しないいい加減なもので、到底信用できるものではない。再審請求ではそれを実験で明らかにしました。検察はそれを受け、これまでの主張を転換し、大阪府警科捜研の鑑定に誤りがあったことを認めた。
●急変患者の容態は筋弛緩剤によるものではない
判決では、患者の急変や死亡は筋弛緩剤を点滴用液に混ぜ、呼吸障害や意識障害を起こさせて殺人未遂を起こしたとしていますが、実際の症状は筋弛緩剤投与の症状とは異なり、担当医も筋弛緩剤など全く疑うことなく、他の病気であると診断しているのです。
再審請求では、被害者の容態は筋弛緩剤によるものではないと長崎大学の池田正行教授の意見書を出しました。それには、全国1000人近い臨床医にアンケートをとったところ、100%近い医師が「筋弛緩剤の症状とは言えない」と答えたと書かれているのです。
私は、一人の無実を晴らすために、こうした地道な科学的検証を行い、「有罪判決」に立ち向かっていく集団の存在の大きさを、年を重ねるごとにヒシと感じます。
守大助さんの無実を訴え、ご両親は必死で全国を回っています。
6月1日(土)午後1:30~3:00 平塚市中央公民館3階大会議室において、ご両親がこの「仙台・北陵クリニック事件」の真相を語ります。
今、大阪の「東住吉冤罪事件(ガレージでガソリンを給油ポンプを使ってポリタンクに移した。その後ガレージから出火し、長女が逃げ遅れて死亡した事故を、長女の保険金目当ての殺人とされた事件)」や、横浜の先生が「痴漢冤罪事件」の犯人にされ、職場まで懲戒免職にされた事件など、いつ、自分がひょんなことから犯人にされるかわからない・・。是非、冤罪はどうして起こるのか、そうした時のマスコミの報道の仕方についても聞いていただきたいと思います。