加藤桝治さんは現在89歳。戦中を生き抜き、戦後70年を迎える今年、彼の言葉、歴史認識が聞く人の心を打ちました。そして、安倍政権の戦争する国造り、「戦争立法」を企てている今、多くの方々に「あの時何が起こったのか」を知ってほしいと思います。先日、彼は県職労湘南支部に招かれ講演をされました。参加者から、優れた資料を基にその内容がとてもよかったと感想を聞き、また企画してほしいと思っているところです。
加藤桝治
県職員労働組合湘南支部から要請され『第11回平和の集い』で、「少年工の目から見た戦争」を話しました。集会は3月6日で55人が参加しました。
1942年16歳のとき、米軍機の日本本土初空襲で、働いていた工場に爆弾が直撃、同期の友人たち多数を失ったのに、「被害は一切口にするな」といわれたこと。戦局の厳しくなる中で、「落書き」まで憲兵が来て筆跡鑑定したこと。会社の気に食わない労働者を「炭鉱に強制配置」するなど、人権無視の労務管理が強化され、空襲で家を焼かれても、戦争への疑問も怖さも感じず、ただ、ひたすらお国の為に命を捧げようと、真剣に考え、働いていました。なぜ、このような軍国少年になったのか、要因として戦前の教育があったと思います。念願の軍隊に入り、戦車に体当たりする訓練も苦になりませんでした。
戦争が終わって目標を失い、自暴自棄の日々。働くなかで普通の人間をとりもどしたころ、『本』で戦争に反対した人々のいたことを知りました。戦争放棄の憲法は、生きる希望を与えてくれました。70年、平和な世を生きて、昔の「私のような青年」を作ってはならない、「戦争反対、平和憲法9条を守りましょう」と結びました。
多くの方が感想文を書いてくれました。一部を紹介します。
▼面白かった。話がたどたどしく年月を感じましたが、実感が伝わります。
▼貴重なお話と資料で大変勉強になりました。実際にその時代を生きた人の話は、本などだけでは得られない生きた証言になると思います。
▼加藤さんも言われたように一人ひとりが自分の頭で考え、判断することが戦争を防ぐことだと思います。…また、今日のようなお話を中学生、高校生に聞いてもらえればと思います。
▼戦前の日本人の異常な体験された話に、改めて反動的動きの恐ろしさを感じました。国民を狂喜に導く、ナショナリズムに警戒しなければならないと思います。
▼生々しい戦時下のお話であり、貴重な体験談でした。自分の生きてきた昭和と重ねながらお聞きしました。ありがとうございました。
▼多感な少年の見た戦争状況が手に取るようにわかり、戦争の悲惨さがわかった。
▼ちょうど孫と同じ年代の加藤さんの少年時代、淡々とユーモアも交えお話し下さいましたが恐ろしい時代であったと思います。純粋な少年の心を洗脳していく教育恐ろしい。
▼戦時中の労働者の様子、軍国少年化していった過程が良くわかった。
▼憲法が重大な危機に直面しています。何といっても平和憲法を守るために、気が付いたことを実践していくことだと思います。これまで平和と民主主義の為に頑張ってきた団体も、そうでない団体も、学習や話し合いをすることが大切だと思います。(15年3月)