新潟ではよく見ていた「桐」の花ですが、この神奈川ではそんなに見ることがありません。
ところが先日、横浜で会議があり桜木町駅を降りて歩いていたら、久しぶりに桐の花を見かけました。
雪深い新潟で、雪解けの頃、まだあたりには何の花もないときに咲いていた桐の花。子どものときから、この薄紫の桐の花が大好きでした。
また、「桐の花」というと、つい北原白秋の「桐の花事件」が頭をよぎります。このときの北原白秋の恋の相手は「松下俊子」(「まつもととしこ」と読まないでくださいね)。
不義密通の罪で、白秋は俊子とともに逮捕・拘留されるまでに至った悲しい恋の心境を綴ったとされるのが短歌集「桐の花」。
ところが、そんなに恋焦がれた仲なのに、出てきて一緒になったら1年あまりで離婚というはかない恋でもありました。
さだまさしさんの歌に「桐の花」があります。その中に
咲けというなら
2千年でも咲きましょう
散れというなら
夕暮れまでに散りましょう
という詩があり、さださんが歌う「壮絶な愛」と、白秋のあまりにも悲しい恋の結末とのギャップについてもやもやと考えたり、子どもの頃に嗅いだ桐の花のほのかな甘い香りを思い出し、そのかおりの奥深さを今更ながら感じつつ、一人会場へと歩いていました。ほのぼのとした日差しの中で・・・。