先日、「会社を首になって、寮を出され行くところがない」と私のところに相談がありました。住むところも、お金もないというので、「給料はいくらだったのか」と聞きました。
「毎月、給与明細を見ると腹が立ってクシャクシャにして捨てていた」といっていましたが、後から「9月の給料明細が出てきた」といって見せてくれました。そこに書かれていた手取り金額は「-1万5千余円」。
何と!マイナスの明細書。
なぜそうなったかと聞くと、「住むところがないから、寮完備という会社を探した。しかし、1か月経たないと給与が入らないため、生活費として最初に10万円借りた。最初の給与19万円から10万円を差し引かれ、寮費として諸々7万5千円ほど引かれた。これでは生活できないので、また10万円借りた。こうしていつの間にかマイナスになっていった」というのです。
食事は食べなくても自動的に引かれていたといいます。かつては労働組合が頑張って、会社の不当な行為から労働者を守る体制が創られていたのに、今は組合もない会社が多く、若者たちも「自分たちの権利」すらも知らないまま会社の思うがままに働かされているのです。
給料その他の賃金は、労働者にその全額を支払うことが原則。
法テラスのホームページでも以下のように書いてあります。
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権については、賃金と相殺することができません。
違反した場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。
もっとも、労働者の求めに応じて当座の生活費を前貸しした場合など、使用者による労働の強制や不当な身分的拘束の手段でないことが明白な場合は、労使協定に基づく賃金との相殺が認められます。
ただし、労使協定に基づく場合でも、給料の額の4分の1を超える部分は、相殺することができません。
完全な違反行為であり、弁護士と相談し対応していくつもりです。
色づき始めた「平塚球場」の木々