地域に根ざした健康づくり
【松本】
高齢者が住みなれた地域で生き生きと暮らしていくためには、老人クラブ、生きがい事業団、町内福祉村などの活動を支援し、地域活動、地域間交流など高齢者の社会参加を促進することを掲げ、健康増進と介護予防の推進、介護サービスの質の向上を図ることが掲げられています。
平成18年度の介護保険制度の改正によって、介護予防が重要視され、特定高齢者介護予防事業、及び一般高齢者介護予防事業が位置づけられました。
平塚市では平成18年1月1日現在で、65歳以上の人口は45,748人。そのうち要介護・要支援認定者は7,251人となっています。
65歳以上の約85%の人は介護保険を使わずに生活をしていることになりますが、実態は、健康面でも収入の面でも生活に支障を来たし、多くの問題を抱えて生活しています。
今後いっそう高齢化が進展していく中で、高齢者の「生活機能」の低下を早期に発見し、早期に必要な対応をはかることは、高齢者が住み慣れた地域でその人らしく生き生きと暮らし続ける上で大変重要な課題と考えます。そこでお聞きいたします。
●特定高齢者向けの介護予防事業の内容と考え方は。
●その対象者数と参加者数について、また、昨年度と今年度の比較について。
●高齢者保健福祉計画では、特定高齢者が平成18年度4.0%、平成19年度は5.0%としているが、その現状について。
【保健年金介護保険担当部長】
■特定高齢者介護予防事業については、生活機能低下のある高齢者と判定された方を対象として、運動機能の維持向上を目的とした筋力トレーニング事業、ストレッチ等の有酸素運動による介護予防運動教室事業、プールで行う水浴訓練事業、栄養状態の向上を目的とした栄養改善事業、口腔機能(食事をする能力)の向上を目的とした口腔機能向上事業を行うこととしている。
■平成18年度実施状況については、延べ参加者は146人にとどまっている。これは、特定高齢者として判定された方が114人と非常に少なかったためと考えている。平成19年度は、5月までの基本健康診査による特定高齢者は156人と増加していることに伴い、参加者も増加するものと見込んでいる。
■平成18年度の特定高齢者については、暫定値ではあるが、神奈川県は、高齢者人口の0.55%となっているが、本市では0.24%にとどまっている。
【松本】
●基本健康診査を受ける高齢者は全高齢者の何割か。
●対象者に、介護予防事業の意義や必要性についてどのように理解していただいているのか、また、その人にあった介護予防事業の体制は。
●参加者が増えない原因について。
【保健年金介護保険担当部長】
■平成18年度の高齢者の基本健診受診者は、15,865人で高齢者人口の32.7%となっている。
■特定高齢者と判断された方には、介護予防事業の勧奨通知をするとともに、地域包括支援センターの職員との面談によりケアプランを立て、その人にあった介護予防事業に参加していただくことになる。
また、事業終了後のアセスメントで改善している場合には一般高齢者の介護予防事業などを紹介しているが、改善していない場合には再度介護予防事業の参加を勧めている。
■介護予防事業の参加者が低迷しているのは、特定高齢者を判定する国の生活機能評価が厳しかったためで、今年度からこの基準が見直され、5月には156人となった。
【松本】
●一般高齢者向けの介護予防事業の内容と考え方は。また、その対象者数と参加者数について。
●理学療法士などの人材確保が不可欠だがその見解について。
【保健年金介護保険担当部長】
■一般高齢者介護予防事業は、約48,500人の市内高齢者全般を対象に、市直営あるいは社会福祉法人等へ委託して、市内の公民館、町内福祉村や福祉施設などで実施している。
事業内容としては、介護予防知識の普及・啓発を目的として、健康教室、転倒骨折予防事業や食生活改善指導事業を行うとともに、地域における自主的な介護予防活動の育成支援を行っている。
平成18年度では331回実施しその延べ参加者は7,052人となっており、今年度も委託事業の拡充により参加者数の増加を目指してゆく。
■本市では理学療法士や保健師などが、地域の高齢者団体等からの依頼により、集団で行う地域運動教室などを指導しており、これらの団体をまとめるリーダーの存在が不可欠と認識している。
また、健康推進員、食生活改善推進員の協力を得て介護予防事業を実施するとともに、地域運動教室などで関わった方との関係を強化し自主的な活動ができるよう支援している。
■市が直接行う事業である介護予防教室では計画値150回3,750人に対し、実績は88回2,429人となり参加者数で約6割の達成。また、委託事業の高齢者食生活改善指導では計画値23回460人に対し、実績は20回324人で約7割の達成となっている。
■本市では理学療法士や保健師などが地域移動教室などの指導を行っており、その効果が高齢者の方から理解され、地域の高齢者団体等からの依頼を随時受け付けている。
今後は、今までの継続的な支援によって、各団体のリーダーによる自主的な活動が展開されることを期待するとともに、庁内の専門職との連携や社会福祉法人などへの事業委託を図ることで、対処してまいりたい。
【 松本 再質問 】
●要介護に移行しやすい引き篭もりや認知症が始まった人の掘り起しが一番大事であるが、基本健康診査の結果だけではなかなか進まない。昨年そこのところを地域の民生委員や社会福祉協議会にも協力願いながら進めていきたいとのことであったが、その進捗状況はどうなのか。
●介護予防事業をもっと活発に行い、早い段階から介護予防を理解し、その大切さをわかってもらえることが必要だと思う。それには理学療法士がもっと必要であるが、市としてどのように対応していくのか伺いたい。
【保険年金・介護保険担当部長】
■介護保険に該当しない方、認定されない方については、高齢福祉課でそのリストに基づいて該当者への接触を図り、改めて基本健康診査を受けていただき、生活機能のチェックを受けていただくことを勧めている。
また、地域包括支援センターでは、民生委員や社会福祉協議会の方と様々なコンタクトをとっていて、そういう中で引き篭もりあるいはうつ状態にあるなどの情報があった場合、そういう方に対して、事業のサービスがあるのでまず健診を受けていただくよう勧めている。
■理学療法士などの人材確保については、市で行っている一般高齢者を対象とした事業の中で、たとえば高齢者の団体など地域からの依頼に対しては理学療法士と保健師などとセットで様々な事業を展開している。
それらにより庁内の専門職との連携を深めたり、あるいはもうひとつの方法としては委託事業として今後展開していきたいと考えている。