(自然のなせる技!今年も、面白い作品が出来ました。)
◎消費と生産との矛盾
資本主義的生産は、より大きな剰余価値の生産を至上目的として、どんな制限も乗り越えて生産力を発展させ、生産規模を拡大しようとする。その一方、剰余価値の生産という同じ目的から、生産過程では剰余価値の源泉である労働者への搾取をあらゆる手段で追及する。そこでは、労働者の購買力を押さえ込むことが、資本主義的生産の行動の原理となる。ところが、現実の社会では、社会の消費購買力の主要な部分を担っているのは、ほかならぬその労働者たちなのだ。だから、恐慌の原因をなす消費と生産との矛盾は、まさに、資本主義経済が自分自身で引き起こすジレンマにほかならない。
こう分析しているのは、不破哲三氏著の「マルクスは生きている」という本です。
この本は2009年に出ていたのですが、ようやく読み始めた次第です。読み出してしばらくすると、今の世界経済の仕組み、今現実に起こっている現象が140年も前にマルクスが予言した資本主義経済そのものが持つ矛盾、起こるべくして起こる現象であり、しかも非常に重症なところに至っていることがわかります。
マルクスの「資本論」が今なおすたれない所以がわかりますし、マルクスのあとエンゲルスがまとめた論文を、さらに今の時代に当てはめて分析をしている不破氏のこの本は、誰にもわかりやすくした「マルクス・エンゲルス・フワ」による「資本論」とも言えるのではと思いながら読んでいます。
◎地球の生命を誰が危険にさらしたのか
地球大気の状態に、地上の生命を脅かす危険が現れ、それが私たちの目に見えるようになったのは、20世紀に入ってからのこと。最初に問題になったのは、紫外線から生命を守る防壁・オゾン層に穴があき始めたことだった。(略)調査の結果犯人は、1930年代に発明され、冷蔵庫の冷却材や発泡スチロールなど多方面に使われてきたフロンガスだった。(略)やがてフロンガスの使用を禁止する措置がとられ、この危険は最初の段階で抑えられたが、この時フロンガスをつくっていたアメリカの大化学企業デュポンが、フロンガスの規制に猛烈に反対したのは、特徴的だった。人類と地球の運命に関わる大問題でも、利潤第一主義が資本の行動原理になることを、証明して見せたからだ。続いて問題になったのが・・・・
と、続くのですが、ここに衝撃が走りました。まさに今の日本の「原子力発電」に群がる企業の姿そのものだからです。人間初めあらゆる生き物の「生命維持装置(不破氏の言)」が危険な状況で一刻も早くやめなければならないとわかっていても、「利潤第一」になってゆくのが「資本主義経済」の最も危険な性質であることを不破氏が語っているのです。(本の内容を簡略化していますが、ご了承ください。)
まさに、今こそ「マルクスに学べ」であり、今の社会の構造を知るには、不破氏の「マルクスは生きている」を皆さんにも読んでみていただきたいと思います。