国民の年金不振を一気に広げた、ずさんな年金記録管理問題。争点となった昨年の参議院選挙で政府は「最後の一人に至るまで・・正しく年金をお支払いしていく」「3月末までに確実に名寄せを完了させます」と言明したため、多くの国民は解決するものと大きな期待を抱きました。
浮いた年金 統合8%だけ
しかし、対策は遅々として進んでいません。
3月14日、社会保険庁は「宙に浮いた」五千九十五万件の年金のうち、二千二十五万件(39・7%)が特定困難であることを明らかにしました。この衝撃的な数字が、まさに「消えた年金」。
その上、基礎年金番号に統合できたのは四百十七万件。全体のわずか8・2%です。
記録の持ち主と見られる人が見つかった千百七十二万件(23%)中、約千三十万人に「年金特別便」が送られましたが、記述のわかりにくさもあり、記録訂正の申し出は約三十三万人にとどまっています。記録が結びつくはずなのに、「訂正なし」との回答が多く、職員が電話や訪問で確認せざるを得ない状況です。
共産党の提案をようやく実施
日本共産党は問題が表面化した当初から、「すべての受給者・加入者約一億人に確認の書類を送ること」を提案していました。ようやく社保庁は4月から10月にかけて「特別便」を送ることにしました。
「特別便」が届いた!
岡崎地区のSさんに「特別便」が届きました。まだ40歳代です。働き始めたころの会社の分が記入もれなのではと考えられます。まだ手続きは済んでいませんが、「将来のために行ってくる」と話しています。
長持のYさんにも届きました。昭和27年から働き始めたが、最初の頃の7年間が支給されていなかったというのです。年金をもらって15年、「支給されている金額を疑うなんて考えてもいなかった。ひどいねぇ!」といいます。
万田地区に住むFさんは、亡くなった夫の年金が3年間分「回復」しました。ほかの会社で働いていた分が新たに判明したというのです。
しかし、Fさんはこう語っています。「一日目は6時間待たされた。心臓の持病を持つ私は、気分が悪くなったことと、閉庁時間が来たのに順番が来ず、また出直した。きちんと管理をしていれば、こんな必要はなかったこと。いい加減に管理していたことに腹が立つ。夫が生前に受けていた年金額も少なかったということですから」と。
「特別便」を受け取った人は、近くの社会保険事務所や年金相談所に行き、記録を確認することが大切です。すでに「訂正なし」と回答した人も相談しましょう。政府は、国民の協力を得るとともに、人も予算も十分に取り、解決に向けた体制を確立することが急務です。